マクロビオテックについて
マクロビオテック…、なんだか難しそうな言葉ですが、実はとてもシンプルなものです。
「マクロ」=大きい・長い
「ビオ」 =生命
「テック」=術・学
この3つの意味をつなげると…
長く思いっきり生きるための理論と方法
そして、そのためには「大きな視野で生命を見ること」が必要になります。
今、日本で生まれたマクロビオテックは世界各国で広がっています。 そして、多くの人たちが大自然の法則とともに思いっきり元気に暮らしています。
現代の私たちの食生活は非常に乱れています。
戦後の急激な食の欧米化により、それまで口にすることが少なかった動物性の食べものが食卓を飾り、毎日がごちそう、さらにはインスタント加工食品や食品添加物などけっして体に必要とはいえないものであふれています。
そのために、現代病といわれる、ガンや糖尿病、アトピー、アレルギー、肥満など一昔前にはあまりみられなかった症状に悩まされている方が増えてきました。
もぢろん、私たちにとって、いちばん大切なものの一つは“いのち"です。その生命の素は、朝夕にいただく食物です。
生命を大事に思うなら、清潔な空気を呼吸し、よく運動して、体の新陳代謝をはかることです。そして、いつも明るくニコニコとして、正しい生活をして、食事には自然の材料を選び、体質にあった調理によって食生活を営むなら、健康と幸福は必ず得られます。
身土不二の法則
自然法則、すなわち宇宙の摂理に従って、生命全体を考え、環境とその土地にできた穀物を主食にして、その季節に出来た野草、野菜、海草などを副食とする“身土不二"の原則にもとづいた食生活、すなわち人間の正しい自然生活が基本となります。
自然界の生物は、毎日 の食べものによって生命を保つことができます。人間もその食事の調和が良いか悪いかによって、病気にも、健康にも、幸福にもなり、平和にもなります。
食物を大別して、イ.動物性食物 ロ.植物性食物に分けることができます。
いかなる動物も、はじめは大地を母体としている植物をとって生命を保っています。たとえば小魚は海草、川草をとり、大魚は小魚を丸のみにします。
野獣、肉食動物は、菜食動物によっで生命を保っています。
正しい食事というのは、一物全体を摂るということですから、その一部分のみを摂ることは、片よった食事なのです。
本来、人類を含めた、あらゆる動物は、菜食動物です。生理的、生理学的にそうできているのですから、人間はやはり原則として、日常は植物性の物を摂るのが白然の原則です。
時たま、動物性食物 を口にすることはその限りではありませんが、植物性のものを常食としている人の血液は、清浄で色も冴えているという事を、血液生理学の立場から、今日ではデータによって証明されています。
人として、自由で健康で幸福な生活をたのしみ、天地自然の子として、正しい食を進めるものです。
自然のもの
「自然のもの」であれば、それが自然食である、という考え方もありますが、私たちが本当に健康になるためには、自然の法則にかなったものを「白然食」と呼ぷべきだと思っています。
①食品が自然な(人体に安全な)方法でつくられたものであること。
②調理方法が、その材料に対して、自然に適しているかどうか。
③それを食べる人にとって、材料の種類と量と調理方法が自然に適しているかどうか。
④身土不二(一切の生物は、その住む環境と一体であること)に合ったものをとること。
以上の条件にかなったものが「自然食」いえるものです。自然がつくったものだからといって季節を無視したものを食べているといつの間にか病気になりやすく成ってしまっているし、せっかくの玄米を白米に加工してしまっているので体に力が付き難い結果と成ってしまっているのす。
「 自然食」とは、もちろん以上の原則にかなった日本の伝統食品をいうものです。
~人本来の食べ物のバランス~
人本来の食べ物とはどんなものでしょうか?牛や羊は草を食べ、ライオンは肉を食べます。もし、牛が肉 を食べるとどうなるでしょうか、そうです、“狂牛病”は人間の都合によって仲間の肉骨粉を与えられた牛はおかしくなってしまいました。現代病といわれる近 頃の病気も同じようなものではないでしょうか?
草食動物の腸の長さは肉食動物よりはるかに長く、その歯形を見ればわかりますが、羊などは草を噛み切ってすり潰しながら食べるので人間の前歯と奥歯のような歯が主体になっており、逆に肉食動物は肉を食べやすいように牙(犬歯)が主体です。
人 間の場合、歯は全部で32本。そのうち、臼歯(穀物をすり潰す歯)が62.5%、門歯(野菜などを噛み切る歯)が25%、犬歯(肉や魚を引き裂く歯)が 12.5%です。つまり、穀物、野菜類、肉類を5対2対1の割合でとるのがちょうど良いのです。しかも、日本人の腸は欧米人よりも長く、より多く食物繊維 をとる必要があります。つまり、その土地に合った食べ物、地元産のものが一番健康に良いと言えます。そして、春夏秋冬、周りの木々が季節にあわせて衣替え をするように我々の身体にも季節にあわせて栄養の衣替えが必要なのです。
食べ物の陰陽について
私たちが真に健康になるためには、日々の食事を正しく調理し、正しく食べることがたいせつです。
すなわち、本稿の冒頭に述べました「食養料理の4基本原則」によりますと、①一物全体食②身土不二③自然のもの④陰陽の調和、の4点です。
ここでは、この「陰陽」を勉強しましょう。陰・陽を表わすのに記号を用います。陰性を▽、陽性を△と表わします。この陰陽を知るとたいへん便利です。
陰性に片寄ってもいけませんし、陽性に傾いてもいけません。陰性には陽性を、陽性には陰性を加えて、いつも中庸に保つことを心がけて下さい。
陰陽判断の基準
食養料理では、すべてのものを陰性と陽性に分けて判断の基準にします(第1表)。
すべての生物は、自分と反対の性質のものによって生かされています。たとえば、人間やある種の動物は植物によって生かされ、男(陽性)は女(陰性)と結ばれ、家庭生活を営みます。このように、あらゆるものの性質を二つに分けて、遠心、拡散、寒冷、カリウムの多いものを陰性(▽)と呼び、求心、収縮、暖熱、ナトリウムの多いものを陽性(△)と呼んでいます。
根菜類の陰陽
根莱類も、この陰陽の方法で判断すると理解しやすくなります。
陰性の根菜類
○地上に早く、長く、暖いとき伸びるもの
(例)竹の子、さとうきび、夏野菜、豆類、椎茸、松茸、きのこ類。
○地下に横に伸びるもの
(例)いも類、ピーナツ、くわいなど。
○水分の多いもの
(例)トマト、大根、生野莱、くだもの、西瓜など。
○紫色、藍色のもの
(例)じゃが芋、さとうきび、ナス、ぷどう、あけび、くわレ×あいたけ、きのこ類。
陽性の根菜類
○地下へ長く伸びるもの
(例)ごぼう、人参、自然薯、根菜類。
○冬の雪の下でもできるもの
(例)春の野莱、たんぼぼ、なずな、冬野莱など
根菜の陰陽図の見方
第1図は、いも類、大根、ねぎ類、タンポポ類、その他についての陰陽の状況を表わしたもので、それぞれ右から左に向けて陽性から陰偉になるように位置づけています。
以下、それぞれについて述べてみます。右に行くほど陰性と考えて下さい。
◇いも類
自然薯(根が深く、山でできるので陽性)
つくね芋(岩のようにゴツゴツしていて陽性)
山芋(ボールのように丸い芋で陽性)
長芋(畑でできるのでサクい。陰性)
大和芋(横に広がっていて、陰性)
里芋 (親芋に子芋が横にたくさんくっついた状態で陰性。芋パスターなど治病の手当てに
使われるのは、熱という陽性を、芋の陰性が吸収する働きをするためで、生姜(極陰)
を加えると、より陰性となります)
じゃが芋(もっとも横に広がり浅い。陰性)
さつま芋(ななめに広がり、陰性)
しょうが(浅くて、どんどん横に広がるのできわめて陰性。求めるときはなるべく小振りのものを選ぷのがよい)
◇大根類
冬大根(根が深く、上にとび出さない。陽性)
桜島大根(お正月にはスズシロといい、春に大根と
なる。葉にギザギザがあり中味は充実している。陽性)
夏大根(根が浅く、上にとび出す部分が多く、陰性)かぷら(葉にギザギザがなく滑らか。密度が荒いので早く煮える。陰性)
◇ねぎ類
らっきょ(ノビルにくらべて根が深く、シャミセン型をしている。陽性)
ノビル(にらよりは根がやや深く、根が長い。陽性)
にら(根が浅いので、陰性)
玉ねぎ(横に平べったいのが、玉ねぎとしては陽性、上に長いのは陰性。したがって、求めるときは前者がよい)
東京ねぎ(根が深く、根に白い部分が多いので、ねぎとしては陽性)
関西ねぎ(東京ねぎにくらべて白根が少ないので陰性)
◇タンボボ類
タンポポ(根が複雑にちぢみながら伸びており、極陽性。小児マヒ、神経マヒの人々には唯一の特効薬)
アザミ(根が順調に、くせなく真っすぐにのびている。陽性)
◇人参、れんこん類
朝鮮人参(生長がおそく、7㎝くらいに伸びるのに3年もかかる。畑地は一度採取したら3年は使えない。極陽性)
くず(根が何mにも及び深い。陽性で食養には欠かせない)
ごぼう(一直線に下に伸びていく。長いものは1mもある。アクがつよいので、火でアクを中和させると、さらに陽性になる。金ぴらごぼうはその原理を用いて治療用に使われている)
れんこん(水の中で横這いして、水の中にいながら腐らないので陽性。穴があいているので▽のように見えるが、求心性がつよい植物)
日本人参(くきに模様が多く、葉はギザギザが多く、西洋人参より陽性)
西洋人参(くきに模様カ沙ない。葉のギザギザも小さく、ノンビリ伸びた感じで日本人参より陰性)
以上のことを心得ておきますと・市場で野菜を求めるとき、 料理をするときに非常に便利ですし、料理の基本的知識といえます。
食品の陰(▽)と陽(△)
前頃で食べものに陰性と陽性のあることがお分かりいただけたと思いますし、この陰陽を応用すると、人間としての正しい食べものが選べますし、その組合わせによって、病気も治すことができるのです。いずれ、このシリーズ追補版『治療食」で詳しく述べますがそれまでに、この原理を知って、さらに日常にとり入れておかれますと、「治療食」を、より有効的にご利用願えるでしょう。
植物食と動物食の陰陽
第3表では、動物食と植物食をくらべた場合、動物食は陽性で、植物食は陰性ということが分かりますし、穀類中心の食生活をしていて、動物食と植物食を少量加えると、陰陽のバランスが保たれることが理解できます。